二人の秘密



「よかった………」


私は小さくそう呟く。


「よかったって一人じゃなくて?」

百合の真剣な声が聞こえて私の足は自然に止まる。

「涼ちゃんの事考えなくて済むから…………?」
「―――え?」


私を真っすぐに見据えて何もかも見透かすように。
ただ悲しく百合の目に涙が溜まっていく。


「莉子………涼ちゃんと別れたんじゃない?」



――ドクン


私の心臓が大きく跳ねるのがわかった。

百合には全部話していた。
仮の彼女になった事。

でも、志緒姉と付き合ってた事。別れた事。
それは言ってなかった事。


なのに百合は全て見抜いた。

私が無理してるのも涼ちゃんを忘れたいのも。

何も言わなくても分かるよ。

そう言われている気がして私は咄嗟に目線を逸らした。


「ねえ莉子?言えないかな??私は頼りないかな……?」
「………」


そうじゃないよ。
百合は頼りなくなんかナイ。
私が一番に信頼して信用してる親友。だけど………
< 85 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop