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この結婚式に招待してきたのは、あの女だった。
ご丁寧に「二人の幸せを祈って下さい」
なんて、わざとらしい言葉が書かれたメッセージカードが添えられていた。
彼女もまさか、本当に出席するとは思ってなかったのだろう。
私の姿を見つけた時はかなり驚いていたようだった。
してやったりと、思った咲姫だったが、それはすぐに後悔に変わった。
あの女は私に見せつけるかのようにわざとらしく彼に寄り添う。
招待客はすべて彼と彼女の友人。私の知り合いなど一人もいない。しかも誰もが高級そうなスーツや、豪華なアクセサリーやドレスに身を包んだセレブリティばかり。
初めこそ場違いなパーティーに紛れ込んだ、かわいそうな小娘を横目で見ていた参列者も、今では全く無視。
私などそこに存在すらしないように披露宴は進んで行った。
このさい、高いワインをすべて飲み尽くしてやろう、なんて貧乏根性丸出しで飲み始めたものの
もともとたいしてお酒に強くもない私は、披露宴の中盤頃にはすでに意識が朦朧としていた。
それでも意地で飲みつづけたものの、結局、最後に思い出せるのは、式の後半、元カレの上司が歌った「お嫁サンバ」と、五杯目のワインをおかわりしたところまでだった。