Loved you...
リビングの片隅の
小さな台の上に乗った
写真に向かい手を合わせる。
「おはよう、
お父さんお母さん…
それから、裕太」
これは彼女の家族。
父、母、弟を彼女は
失っていた。
去年、家族旅行に出かけ
交通事故に巻き込まれた。
彼女だけは、
なんとか一命をとりとめた。
しかし彼女は
独りぼっちになった。
暫く手を合わせ
目を瞑る彼女。
「…よしっ」
目を開けて
気合いの言葉を発して
髪を結い始める。
朝ご飯は家族を失ったその日から
取らないことが習慣付いていた。
制服に着替えて
彼女は鏡の前に立つ。
そしてニコッと笑い
家族にいってきますと
告げて家を出た。