スウィーツなキミ
バサバサと紙を振り目を逸らせば陸とは反対隣に座る佳と目が合ってしまう。
「………なによ…」
「別に?そんな少ない資料すら読めねぇようなぼんくらなのかと改めて思っただけだ。」
「………ぼんくら?
っ、読めるわよ!読んでやるわよ、三分で!!」
佳に鼻で笑われた事が悔しいやら腹立つやら、よくわからないまま半ば意地で文字が並ぶ紙に視線を落とした。
「相原さんのお父上と暁様は幼なじみのようでして…、」
「あれ?もしかして……これ私じゃない?」
ぺらりと紙をめくり、目に飛び込んできたきたのは見覚えがある写真でますます首を傾げてしまった。
ピンクローズが綺麗に咲いた庭はかつて私が幼い頃に住んでいた家の中庭。
その中庭で撮った写真に私や父さんだけじゃなくて、なぜか最上暁や知らない男の子まで写っている。
「これ、最上暁…だよね?」
「はい。それに、相原さんの隣におられるのが私達の主人……
最上迅(モガミ ジン)様になります」
陸の声に、思わず写真を何度も見た。
陸達の主人=私の雇い主?
そんな方程式を、こんがらかった頭の中で組み立てながら中世ヨーロッパのお城の中庭みたいな場所を超高級外車で通り過ぎていた。