スウィーツなキミ
――――コンコン、
目の前の馬鹿みたいにでかいドアを叩く陸の後ろに私は廻りを忙しなく見渡して傍(はた)から見れば不格好なやつかもしれない。
「迅様、相原さんをお連れしました。」
コンコンコンコンとドアを叩きながら中にいる奴に声を掛ける陸。
最初は物凄ーく柔らかい声だったのが、中から何も応答がないのにいらついたように段々と険しい声に変わっている。
――…陸は怒らせない方が身の為かもしれない…。
「迅様!いるならばお返事くらいなさって下さい。いつもいつもいつもいつもいつも…」
バターン、と言うよりは最早破壊音に近い音を立てて開いたドアから見えた部屋の中に肩をいきり立てた状態で入る陸の後ろに見えた般若は幻覚だと思いたい。
「……………うわー、般若の次は王子様ですか…」
「誰だ、お前。」
「迅様…?今日は新しい世話係が来ると申したはずですが?」
陸の後ろに見えた般若の次は、部屋に違わないような豪華なベッドに半裸で…あ、ここ重要ね。
は・ん・ら!で女を侍らせる王子様のような男。
陸が言う迅は目の前の半裸の露出狂の事だと思う。