スウィーツなキミ
「ねぇ、今更なんだけどさ。」
ふと思った。
本当に今更だし、それでも何より大事な事を私は聞きそびれていたんだ。
「私が青春をなんたらーはわかるんだけど、二つ目の仕事ってなんなの?」
「…………お前さ、それ昨日のうちに聞いとくべきだろ。」
「し、仕方ないじゃん…昨日は……ほら、あ…アレだし…うん。」
アレ?と首を傾げる佳は無視。
無視、と言うよりは昨日のアレは口には出したくないと言うのが本音だったりもするんだけど。
「と、とにかく…二つ目ってなんなの?二つ目を知らないまんま仕事なんてできないでしょ?」
「まぁな……二つ目は、迅を笑わせる事。」
「………はい?笑わせる?昨日厭味ったらしく笑ってたけど。」
佳が教えてくれた二つ目の仕事は私には理解できない。
だって、昨日あいつ厭味ったらしくニンマリ笑ってたやがったし。
そんなあいつを笑わせろってどんな仕事なのよ。
「表面は笑っても目は笑わねぇのが迅なんだよ。昔からな。」
「……脇腹擽れば嫌でも笑うんじゃない?」
「とっくの昔に実践済み。」
―――…やったのか…!
引き攣る口元をどうにか引き締め直して私は気づかれないように小さくため息を吐き出した。