スウィーツなキミ
小さく吐き出したため息をまた吸い込むように小さく深呼吸してからずり下がってきた鞄を肩にかけ直し、視線を佳に向けた。
「あいつ、そんなに悪いやつじゃねぇから。」
「………最上迅の事?」
「そう。だから頼むな。」
私よりもずっと大きい掌で頭をぽんぽん撫でられて、小さい子供に戻ったような気がして少しくすぐったかった。
ただ、くすぐったい気持ちの裏側には多いに不満があるのは否めないんだけど。
「お前ならできんだろ。まぁ頑張れよ。」
「お前お前ってね…私には相原椿って名前があるのよ!名前くらい正しく呼びなさいよ。」
小さい頃から何か気に入らない事があれば口を尖らせる。
その癖は成人した今でもまったく直ってなかったみたいだ。
口を尖らせる私に佳は一瞬だけ呆気にとられたみたいな表情をして、すぐにお腹を抱えてなぜか爆笑しだした。
「おま…ガキかよ……くくくっ…」
「わ、悪かったわね!どうせ私はガキですよー!」
「拗ねるなって……くっ…はぁ……、悪かったな。椿?」
またぽんぽん頭を撫でる佳にほんのちょっと…本当にちょっとだけドキッとしたのは私だけの秘密にしよう。