スウィーツなキミ
生まれて20年。
お母さんは私がまだ5才の時に急死して、それからはお父さんが男手一つで私を育ててくれた。
だからと言うわけじゃないけど、少しでも高給取りになってお父さんを楽にさせたい。
そんな考えももしかしたらほんのちょっとはあったのかもしれない。
だからってさ……
「………お父さん、なんか間違ってない?」
「ないない、可愛い可愛い。」
「ないわ。有り得ないからね。私ハタチよ?二年前に卒業式は終わってるよ?」
仕事を引き受けるなら、と渡されたのは真新しい"制服"。
制服は制服でも、一般ピーポーな私でも知っている超有名な高校のものだ。
ハタチになってまでこれに袖を通す勇気はさすがの私にもない。
「ね、ねぇ……仕事って?」
「お前は……。
そんなんだから成績表に『人の話しは最後まで聞きましょう』なんて書かれるんだ!」
「いや、今それ関係ないよね!」
関係あろうがなかろうが私には関係ない。
とにかく、なぜ制服を渡されたかを聞かなきゃ話しが進まないはずだ。