スウィーツなキミ



未だにぽんぽんと頭を撫でる佳を放って、玄関の前に横付けされた昨日とは違う外車に目を向けた。



「学校、すぐ近いのになんで車なのよ。」


「平凡なパンピーとは考え方も違うんだろ。」


「………平凡なパンピーじゃないあんたに言われても理解すらできないんですけどー。」



目の前に止まる外車……確か、どっかの国名みたいな名前だった気がするけど。

それを見たままで今度ばかりは隠しもせずに盛大なため息を吐き出してやった。



「俺は至って平凡な普通の人間。」


「このお城みたいな学校見て普通って言ったのはどこの誰よ。」


「見慣れれば普通にもなるだろ。」



―――…ダメだ、こいつ。

どこをどう頑張っても私にはこの場所に慣れるなんてできないような気がする。

単調でも何だかんだ言葉を返してくる佳に空笑いをして、またため息を吐き出した。



「随分と仲良くなられましたね。」


「…っ、び…びっくりした……いきなり背後に立たないでよ!」


「これは失礼致しました。

迅様、学校に遅れてしまいますよ。」



背後で爽やかな笑顔を見せる陸に飛び上がりそうになりながら、その後ろにだるそうにのっそりと歩いている最上迅に視線を向けた。

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