スウィーツなキミ
「お前、まだいたの?」
「まだ?まだ、じゃなくてずっといるわよ。」
「すげー迷惑なやつ…」
「あんたみたいな歩く変態よりはずっと人的無害よ。」
口を開けば厭味な最上迅にイラッとしながらも無理矢理に笑顔を貼り付けてやる。
―――…変態、盛りの付いた動物、しかも世間知らずなボンボン。
考えただけでイラッとしても、そこは成人した立派な大人として口には出さない。
「それにね、盛りの付いた動物を躾直すって昨日決めたのよ。」
「あー……無理。」
「やってみなきゃわからないでしょ?世間知らずの変態坊ちゃん?」
にっこりと笑った口元は自分でもわかるくらい引き攣っている。
それでも、この変態坊ちゃんを躾るならこんな事で私が取り乱しちゃいけない。
「…………」
「…………」
無言で見つめ合う、ではなく、睨み合う私たちの数歩後ろ。
変わらず爽やかな笑顔の陸と、笑いを噛み殺す佳。
「とにかく、あんたは一から躾直すから。」
「やれるならやってみろよ。」
「言われなくても。
とりあえず、お座りからでも仕込んでみようか?」