スウィーツなキミ
坊ちゃんとお嬢さん
キラキラした世界に憧れなんて微塵もない。
だって、この学校にいる坊ちゃんもお嬢さんも自分で掴んだ栄光なんて持ってないもの。
「………悪趣味。」
「相原さん、思っていてもそれは口にせず心に留めてくださいね。」
とにかく、このセレブ学校は悪趣味の一言しかない。
キラキラしたシャンデリアにレッドカーペット。
映画祭の会場ですか!なんて突っ込みたいところなわけで。
「陸も佳もそう思わない?」
「同意を求めるな。」
「………私は迅様を見張りますので、相原さんはまっすぐに職員室へ行ってください。」
話は通してあります、と早口でまくし立てて学校に着いた途端に女と消えた最上迅を追い掛けてしまった陸を私は同情を込めて見送った。
「大変そうだねー、陸。」
「あれがお前の仕事になんだから…陸は楽になるな。」
「げ、マジ?」
「当たり前だろ。仮にもお前は世話係なんだし。
それより職員室行くぞ。どうせお前一人なら迷って辿り着けないだろうし?」
馬鹿にしたような佳にムッとしながらも、迷って辿り着けない、それを否定できない自分にがっかりしてしまう。