スウィーツなキミ
「貴女が最上様のお世話係の方?私は渡辺です、今日から貴女の担任になります。」
職員室に着いて、詰め寄ってきた女の人は渡辺と言う教師らしい。
生徒に"様"を付けるなんてどんだけあの男は偉いんだ、なんて思いながらも引き攣る表情をどうにか戻してできる限り笑顔を作った。
「あ、相原椿です。よろしくお願いします…」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね。相原様。」
「様!?様なんて付けられるほど偉くなんかありませんから。」
目が飛び出るかと思った。
生まれてから"様"付けなんて銀行で名前を呼ばれる位だった。
まさか教師に"様"付けされるとは……いや、その前に成人したのに制服着て学校通うなんて思わなかった。
「予鈴がなる前に行きましょう。」
「あの、佳は?」
「彼ならお兄様とご一緒に控室に行かれましたよ。」
「控室…?」
「生徒の執事やメイドは授業が終わるまで控室でお待ちいただくのですよ。」
私を職員室に押し込んですぐに佳がいなくなった理由はわかった。
でも、この教師の不自然なくらいの腰の低さに鳥肌が立つ。
普通なら生徒よりも教師が偉いはずなのに…この学校の序列がおかしいような気がするのはきっと気のせいなんかじゃない。