スウィーツなキミ
in 黒ずくめと車にて
「お父上からお話は聞いていただけましたか?」
「………………」
「聞いていないならご説明いたしましょうか?」
「………………」
揺れの少ない私が生まれて初めて乗った超高級外車。
普通の状態なら飛び上がって喜ぶところだけど、今はただ無言を貫いて両隣にいる黒ずくめを睨みつけてやる。
「……聞こえてぃますか?」
「……………」
右側にいる黒ずくめは小さなため息を吐いて私を見る。
左側にいる黒ずくめは一生懸命私に話し掛けている。
対照的な二人を私は横目でチラチラと見て、勝手な想像を膨らましていた。
「(年は同じくらい…?サングラス外したら意外にイケメンだったりして…。)」
横目でチラチラ見ながら多分同世代の黒ずくめを見た。
そんな私の考えを読んだのかはわからないけど、黒ずくめ二人の視線が私に集まるのがすぐにわかった。
「………なんですか。」
「いえ、…もうすぐ着きますので心構えをお願いします。」
やっぱり話しをするのは左側の黒ずくめで、心構えを…なんて言うそいつに私は眉を寄せた。