〖完〗子ども警察官の精華
 精華は、見えないおりの中に閉じこめられた。


――あのオーディション・・・断ればよかった。――


 そう思いながら、ただ体育座りをして、涙を流す。

 精華の心の中はそうだった。


 精華は、帰り道ずっと思っていた。


――なぜ、うちだけがこんなめに??なぜや!!――


 自問自答。

 答えなんか、出るわけがなかった。


 答えが出ずに、涙を流して。

 苛立ちを覚えては、質問し。

 また答えが出ずに、倍の涙を流して。


 悪循環に陥る、精華の心が今にも見えてくる。


 

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