〖完〗子ども警察官の精華
『事件なし』という封印が解かれた。

 精華は、かなり動揺した。


――事件解決を目指さなかったから。――

 今までずっと、ずるずると引っ張ってきた自分を後悔していた。

 
――愚かやった。なぜ逃げたんだ?――


 事件解決から逃げていた自分を責め続けていた。

 それと同時に気が付いた。


――怖かったんや。――

『普通の青春のほうが楽しそう』なんて、ただの言い訳。

 本当は、怖くて逃げていた。


 自分の正体を、絶対にばらしてはいけないプレッシャー。

 もちろん、知られてもいけない。

 もし、容疑者が知ったら・・・

 自分は殺される。

 それに、事件そのものも。

 顔の分からない容疑者。



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