〖完〗子ども警察官の精華
 精華は、体育館に座り込んだ。

 余計に、怖さとみじめさが分かる。

 泣ける場でないから、また悔しい。

 悔しくて、ラケットを強く握り締めた。

 体力テストで出た握力より、強く強く。


 周りは、相変わらずのんびりしている。

 精華から見れば。

 悔しくて、ラケットを投げつけてやりたいぐらいだ。


――もう、だれでもいい。

  この状況を理解してくれる人がほしい。

  誰よりも、深く、もっと深く・・・。――


 精華は、事件が起こったことなんてすっかり忘れていた。

 悔しさと、恐怖感で満たされていた。


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