〖完〗子ども警察官の精華
「そうね、仰向けに倒れていて、右腕から火が出ているぐらいしか分からないね。」

「それでいいのです。」

 精華は、またノートに書く。

「頭は、扉側に倒れていましたか。」

「そうだったはず。」

 曖昧な表現だけど、とりあえずノートに図を書き込む。

「もういいかな。」
「はい、今日はこの辺でいいです。」

「明日、福見さんからの話と、場合に応じて仲川先生か、片桐先生を呼べばいいのね。」
「はい。ありがとうございました。」

 精華は、一礼してこの場を去った。


 廊下の薄暗さが、事件の恐怖を感じる。

 精華は、まだおびえていた。

 でも、逃げられないと分かっていた。


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