恋形
男「僕は紀子さんを心から愛しています
世界中の誰よりも」

そういって男は墓石を見る

男「きっと彼よりも…
僕は彼を越えることができないでしょう
でも、ずっと紀子さんの隣にいることができる
僕は彼に一生嫉妬し続けるでしょう
それは紀子さんが大好きだからです
紀子さんの中から彼が消えることはないでしょう
それは僕もそうだからです
でも、僕はそれも含めて
紀子さんを愛しています」

隠れながら見ていた次郎は泣いている

次郎「愛した人が……誰かにプロポーズをされているのを見るなんて……こんなに苦しいものはない…」

羽流もまた泣いていた

男「そして、僕に出来て彼に出来ないことがある
今、この前で紀子さんに誓います」

次郎は静かに口を開いた

次郎「紀子……」

男「紀子さん、僕は紀子さんを」

次郎「一生……」

男「一生」

次郎・男「幸せにします」

紀子はその言葉を聞いたとき泣き崩れた

男「僕と結婚してください」

紀子はやさしく
そしてハッキリと答えた

紀子「はい」
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