恋形
ミチ「やさしそうな、二人だから話してしまおうかね」
そういって空いてる席に座り
ロケットを開け二人に見せた
中には若い男の白黒写真があった
ミチ「私の旦那だよ」
と、ぽつりとつぶやいき薄く笑いながらはなしだした
ミチ「私が、結婚していたのは戦時中でね、夫、明男(あきお)は料理人だったんだよ
あの人は本当に頑固な人でね、店はオンボロでお客も入っていなかったけど
けして弱みを見せない人だったよ
私と結婚するときも本当に強引でね
明男{オレについてこい!}
その一言だったよ
それでも私は、うれしくてねぇ
あの人が、照れてたんだよ
それから、お店を二人でやっていってね
5年目のとき赤紙が送られてきたんだよ、それを見たときは
あの人の頑固さも強引さもなくなったね、ぽつりと言ったんだよ
{恐い…}ってね
私にはじめて弱さを見せたときだったんだ
あの一言は忘れないね
もちろん私も、あの人に戦争なんかにはいってほしくなかった
そしたら突然あの人が