恋形

羽流も目に涙を浮かべている

そんな羽流に、やさしい笑みを見せる
そして口を動かしている

タクシーの外に羽流がいたので中にいるミチお婆ちゃんの声は聞こえなかった

羽流はミチお婆ちゃんの言葉を知ろうと必死に目をこらした

羽流にはわかった

ミチお婆ちゃんの口は

「し・あ・わ・せ・だ・よ・」

そう言っていた

ミチお婆ちゃんは微笑んでいた
やがて
ミチお婆ちゃんを乗せたタクシーは
泣き叫ぶ亜紀
涙を浮かべている羽流
ウチロ
の前から、ゆっくりと走りだした……

亜紀「いや〜!!」

タクシーを追い掛けようとする亜紀を羽流が抱き締めた

羽流「亜紀。きっとお婆ちゃんは幸せだよ」

羽流も我慢できずに泣いていた
亜紀も羽流にしがみつき言った

「とても、とても愛し合っていたのに、そんな過去が人を傷つけるなんて苦しいじゃない!!」
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