恋形
"メリーゴーランドに乗るよ やさしい曲がなってるね"
亜紀は羽流にしがみつき泣いている
"メリーゴーランドがタイムマシーンなら ぼくはちゃんと前を見て乗るんだよ"
タクシーは夜の闇の中を走っている
車内にいるミチお婆ちゃんの目にも涙が浮かんでいる
"ぼくらみらいをみていくよ"
朝
スクーターに乗った人が新聞を配達している
記事は一人の老人の死を知らせていた
"ぼくが生まれて 亜紀が生まれる2ヵ月 ぼくは一人だったんだから"
暗い排水溝の中でロケットが光っていた
まるで一番星のように
"あの淋しさには耐えられないから
今のぼくなら--------"