恋形
考太に別れを告げた羽流は歩きながら携帯をポケットから取り出してメールを打っている
その顔は鼻歌でも歌いそうな勢いだ
羽流「送信」
そういって<パシャン>と携帯を閉じた
街の中に建つ7階建てのビルの7階
マルボ商事のキレイなオフィスで携帯のバイブが鳴る
その着信を待っていたかのように女が携帯に手をのばす
携帯を開く前に女が一言話す
「いま終わったよ」
そしてメールを開く
内容は「今、終わったよ」
そのメールを見て女はほほ笑みながら言った
「ビンゴ!!」
女が予想したこととメールの内容が当たっていた
メールの相手は羽流
女は羽流の彼女の大塚 亜紀(おおつか あき)だった
メールのやり取りが始まる
羽流から送られてくるメールには考太との紹介の約束も書いてあった
亜紀は考太に
小山 唯(こやま ゆい)
という子を紹介しようとしていた
唯には話してある
唯も乗り気だった
亜紀と唯は高校からの友達だ
会社も同じマルボ商事に勤めた
つまり二人も親友だ
「亜紀!!!」
メールを打っている亜紀に唯が話しかけた
唯「仕事は、もう終了だよ」
とっくに終了のチャイムがなっていた