恋形

羽流は安堵のため息をついた。
男は入り口の前で止まっている
駐車場には、たくさんの警察官が慌ただしく動いている
コンビニは完全に包囲されており
男に逃げ場はなかった
男は振り返り店内に居る一人に銃口を向け冷静に言った

男「オマエが店長か?」

店長はうわずった声を出す

店長「はっはい」

男「すべての入り口に鍵をかけ窓にはブラインドをおろせ」

店長「はい。わっわかりました」

店長は言われたとおり入り口にはカギ
窓にはブラインドをおろした

男「この店内に居る人たちは、そこに座れ」

羽流と亜紀は男が示した弁当が並ぶ棚の前に座ろうとする
羽流は亜紀を守るように
自分の後ろに座らせた

羽流「大丈夫だからね。」

なんの根拠もなかったが亜紀を安心させる言葉を出す
今の羽流に出来ることはこれしかなかった

亜紀「う、うん」

亜紀は羽流の言葉に返事はするが
不安の色は隠せなかった

男は弁当が並ぶ棚に座っているみんなに言った
その言葉は冷静で穏やかな声だった

男「ちょっと、時間がかかり過ぎて
御覧のとおり駐車場には、警察官が来てしまいました
私に逃げ場はありません

言うことで
今から、ここを占拠します」
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