だぶるっ!!

お弁当作戦 愛奈side


「あんまり、関翔太君に近づかない方が良いんじゃないかな…?」



真弘が恋奈に忠告をしている時、あたしは自販機の前にいた。



ほっぺの火照りを手で冷ますけど、あまり効果はなかった。


何年ぶりだろうか。

真弘に『あ~ん』なんかされたの。


最後が小学生だったことは確かだ。


その時ちょうど自分の気持ちに気づき、真弘に対する淡く儚い想いを募らせる日々が始まった。



「冷静に、冷静に…」


自分に言い聞かせ、深呼吸をした。



お昼の途中で抜け出してきて、恋奈と真弘には不愉快な思いをさせたかもしれない。


財布から小銭を出し、自販機に入れようとした時だ。


ドンッ。


勢い良く人がぶつかり、その振動で小銭が音をあたしの指から零れ落ちた。


「あっ…」


「あ、わりっ!!よいしょ…」


ぶつかってきた男子生徒は、足元に散らばった小銭を拾い集め、あたしの手の中に戻した。


「ありがとう…。って、あぁ~!!」



大声をあげると、相手はビクッと身じろぎをした。


「な、なんだ…?」




< 11 / 37 >

この作品をシェア

pagetop