だぶるっ!!

サラサラな金髪に幼い顔立ちの男子が、驚いたように目を見開いている。


「翔太君っ!!」


「あっ…。東条先輩」


私は久しぶりに会話を交わした事の喜びで、興奮状態に陥った。


「恋奈、大丈夫?」

私と翔太くんの間にま―君が割り込んできた。


「あ、うん。平気」

「そう。早く行こう」


そう言うと、ま―君はチラッと翔太君を見てから、私の腕を掴み歩き出した。



「あっ…、翔太君ぶつかってごめんね!!バイバーイ!!」


私はポカンとした表情で立ち尽くす翔太君に慌てて手を振った。



それにしても、今日はラッキーな日だ。


ケ―キを2つも食べられるし、久しぶりに翔太君とも会話を交わせた!!



…でも、私は知らなかった。



愛ちゃんがどんな気持ちでケ―キを選んでいるのかを。



ま―君がどんな気持ちで私の腕を引っ張っているのかを。


翔太君がどんな気持ちで私とま―君の後ろ姿を見つめていたのかを。



この日の出来事が、今後の私達にどんな影響を及ぼすのかを …。



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