だぶるっ!!
隠さなければいけない 愛奈side
「ハァッ、ハァッ」
アタシは走っていた。
校門を出て、出来るだけ学校から離れるために。
早く。
早く離れないと。
アタシはっ…。
気がつくと近所の公園の前にいた。
小さい頃、アタシと恋奈と…真弘と一緒に遊んでいた公園。
あと10メートル先に行けば、目的のケ―キ屋に着くのに、足が竦んで動けない。
アタシは、溜め息を着いて公園へと方向を変えた。
何気なくブランコに近づき、鎖に手を伸ばした。
微かに鉄の錆びた匂いがした。
ブランコは3つあって、色も形もあの頃と変わらない。
いつも真ん中に真弘が座って、左側に恋奈右側にはアタシが座っていた。
このブランコは、私に生まれ初めての恋を教えてくれた。
そして、生まれて初めての失恋を教えてくれた。
ブランコに乗った真弘の横顔を見つめて、このくすぐったい感情が恋だと知った。
でも、アタシが真弘の横顔を見つめる事が出来たのは、真弘が恋奈を見つめていたからと言う事を知った。
知ってしまった。
知りたく、なかった。