だぶるっ!!
「ふぅ~…」
また溜め息をつき、グッと体に力を入れてからケ―キに手をつけた。
プラスチックのフォークでチ―ズケ―キを崩していく。
フワフワのケ―キを口に入れると、チ―ズの甘い香りが口の中に広がる…はずなのに、味がしない。
ただ、スポンジが口に入ってるような…。
そんな感じ。
「美味しくない…」
それでも、無理矢理ケ―キを口に運ぶ。
もう、2つ目のケ―キに突入した。
ふと、さっきの恋奈の言葉が蘇る。
「そうそう、ま―君に引っ張られてあんまり話し出来なかったんだよね~」
関に会った時、真弘どう思ったのかな?
不愉快になった?
イライラした?
腹立たしくなった?
嫉妬、した?
その時、初めてケ―キに味がついた。
しょっぱくて、悲しい味だった。
部屋にある鏡を見て気づいた。
「アタシ、泣いてる…」
そっか…。
だからしょっぱいんだ。
これ涙の味なんだ…。
アタシは、流れる涙を拭きもせずチ―ズケ―キをただ口に運び続けた。