だぶるっ!!
「ま―ひ―ろっ」
「ま―君っ」
3年生のクラスを覗くと、優しい笑顔が振り向いた。
「恋奈、愛奈。今日はどこで食べる?」
「「中庭っ!!」」
声を綺麗にハモらせると、ま―君は早速お弁当を持って立ち上がる。
3人で中庭に向かう途中、女子達の熱い視線がま―君に降り注ぐ。
ま―君こと阿久津真弘は、私達の学校の生徒会長だ。
成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗、性格も優しくて温厚だから、女子からはもちろん男子からの信頼も厚い。
完全無欠なま―君は、私と愛奈の自慢の幼なじみだ。
中庭に着くと、それぞれのお弁当を広げ、食べ始める。
「ま―君の唐揚げ美味しそっ!!ねぇ、ねぇ、頂戴!!」
「こぉら、あんたは真弘のご飯食べ過ぎっ。太るわよっ!!」
愛ちゃんに指摘され、思わず言葉を紡ぐ。
「う…」
「じゃあ、愛奈と半分こしたら?俺は、別に構わないから」
ま―君の予想外の言葉に、愛ちゃんが目を見開いた。
「私もっ!?」
「うん。愛奈は、唐揚げ食べたくない?」
「食べたいけど…」
愛ちゃんが、ブツブツと喋り出した。