だぶるっ!!
「旅に出た」
「…………。真弘は?」
「お教室にお戻りになりました、です」
冗談をかましても、冷たくあしらわれ、少し怯えながら答えた。
「な~んだ。もう行っちゃったのかぁ~。せっかくジュ―ス買ってきてあげたのに…」
「私は?私は?」
「ん?ほい」
「水…!?」
ま―君のは、カフェオレなのに…。
奢ってもらった身だから、文句も言えず味気の無い水をチビチビ飲む。
「あ~…。お水は美味しいなぁ~…」
「でしょ?私が選んだんだから当たり前よ」
お互いにニコニコと微笑み合う。
と、昼休み終了のチャイムが校内に鳴り響いた。
「あ、お昼おわりだぁ~」
「教室戻ろっ。恋奈」
そう言うや否や、愛ちゃんはサッサと歩き出した。
「待ってっ。置いてかないでぇ~」
慌ててその後を追う。
愛ちゃんは背も高いから、歩幅も大きい。
私がついて行くには、小走りにならないと困難だ。
「恋奈、は―や―く―っ」
「もっと、ゆっくりぃ~!!」