【完】ポケット-幼なじみ-





目を閉じながら



色々と考えていたら突然、









────────ピーンポーン














と言うチャイムが聞こえた。












「…誰…だろ……」







ゆっくりと身体を起こして

ベッドから立ち上がろうとすると

目眩がして倒れそうになった。





「……っ」





頭がズキズキと痛む。






………………夏風邪…かな?




壁に身体を預けながら

部屋を出て階段を降りる。







「すみません。

 今、親いないんで。」




階段で残り二段の所ではる君の声が聞こえた。





そっと座りこんでのぞいてみてみる。








………セールスかな?








綺麗な顔の女の人がはる君に

名刺らしきものをつきだす。






「じゃあ、親が帰って来てから
 で良いから電話ちょうだい。」





女の人は真っ直ぐにはる君を見ると背を向けた。






コツ、とヒールの音と

ともに少しずつ消えていった。





はる君は暫く女の人から受け取った紙を見つめてから玄関のドアを閉めた。
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