【完】ポケット-幼なじみ-


――――頑張ってね、って







簡単に言えれば楽だったのに。








………………なんで…っ








はる君のことを笑顔で応援しなきゃ。







………大丈夫、言える。






「……頑張っ…つ…ぅ」




なんで涙なんか出ちゃうの?





たった六文字の台詞。






「…………歩夢?」




私の異変に気付いたらしい


はる君が私の名前を呼んだ。





それがなんだか余計に悲しくなってさらに涙が溢れ出した。






「…な…に?」





なるべく平常心を保ちながらタオルケットに力を込めて言う。





「…顔、見せろよ」





はる君がいきなり私が掴んでいたタオルケットを引っ張る。




「〜っやだ」



と一生懸命、抵抗するも男の子のはる君になんて勝てるはずもなくタオルケットは剥がされてしまった。





…きっと、今の私の顔は最悪だ。







慌ててはる君に背中向け、顔を手で覆った。
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