【完】ポケット-幼なじみ-
さっき落としてしまった買った物を袋に全て入れ直して持って帰った。
* * * * *
「使えるかな……」
はる君は帰って来てから直ぐにお風呂に行ったから、キッチンで一人、傷が付いてしまった野菜と包丁を手にしながら呟く。
「しょうがないかぁ…
大丈夫な所だけ使おっと。」
黙々と野菜を切っていくと
「……手伝おっか?」
と風呂から出てきたはる君が後ろから私に問い掛けた。
風呂上がりのはる君は髪の毛が
濡れてて、なんだかカッコイイ。
思わず見とれてしまっていた。
「…歩夢、ぼーっと
してるけど大丈夫?手伝うよ」
「…あ、いや…」
はる君は私の横に来て、黙って
野菜を切るのを手伝ってくれた。
はる君はどうしてこんなに普通でいられるんだろ。
私なんかさっきから顔が熱いのに。
はる君は本当にずるい───…。