【完】ポケット-幼なじみ-
―――――――その時だった。
「……か…さ……ん……」
意識不明のはずの千夏が口を開いたんだ。
おじさんと私は千夏に目を向ける。
「…………おか…あ……さん」
………………………お母さん?
そう呟いた千夏はポツ、っと涙を流した。
涙はシーツへと静かに落ちた。
「……………おじさん。」
おじさんの背中を見つめながら言うとゆっくりと頷いた。
いつもなら大きくて、たくましいおじさんの背中。
だけど、その時のおじさんの
背中はいつもより小さくて、
頼りなく、見えたんだ―…