【完】ポケット-幼なじみ-
ライバルセンゲン
「……え、今何て言った?」
短くて長かった秋休みが終わって、何日か過ぎた。
いまは三時間目が始まる直前。
「……覚えて、ないの?」
また、撮影で学校をお休みすることが多くなったはる君と久しぶり話す。
「………………。」
無言になるはる君を見て私は口を開く。
「倒れたはる君を看病しに
行った次の日。
土手みたいなとこで
……撮影した日のことだよ?」
「……ん。」
首を捻りながらはる君が頷く。
………強引にキスされたこと。
なんだか、はる君が覚えてなくてホッとしたような。
…確かに具合悪かったもんね。
心の中でそう納得しながら、机の中から授業道具を取り出した。