【完】ポケット-幼なじみ-
――――――コンコン、
いつものようにドアをノックして、入る。
「――あゆーっ!」
パタン、と千夏は読みかけの本を閉じてから私を見て笑った。
千夏は私の表情から何かを悟ったのか
「………なんかあった?」
と聞いた。
さっき、輝くんと高原くんから
聞いた転校生の話を
全て話すと笑顔だったはずの
千夏の顔は話しが終わってから
いっきに曇っていた。
「名前……聞いた?」
眉間にしわをよせながらあまりにも懸命に聞くから、私は首を横に振った。