【完】ポケット-幼なじみ-
その弾みで倒れそうになって先輩に受け止めてもらう。
「ひゃ…っ」
思わず声が、出てしまった。
『あゆ、どうしたの?』
千夏の優しい声が耳元で聞こえる。
「声出したらバレちゃう、ね」
戸塚先輩に後ろから抱きしめられる。
「なんでもない…よ?」
千夏に嘘をつきながら後ろにいる先輩を睨み言う。
「んで…名前だけど
真井奈美って言うらし…っ」
いきなり、フッと先輩が耳に息を吹き掛けて来て声が出そうになった。
「ちょっと待って。」
一生懸命、先輩からはなれようとする。
だけど、先輩は離す気配も全くなくてさらにちゅ、と音を立て耳にキスをした。
ボッって火がつくように体中あつくなって全身の力を全て出し、携帯をそのまま持って先輩から離れ屋上から出た。