【完】ポケット-幼なじみ-
「…ごめんごめん」
屋上から出て階段に座りながら言う。
『平気平気。ってか、
真井奈美だけどあたし…
小学校同じ……だったよ?』
衝撃的な事実に驚く。
『それで、奈美のせいで
いじめられるようになった。
変な噂流されて、いつの間にか
周りの人がいなくなってた』
電話は良いようで悪い。
電話の向こうの千夏はいまどんな表情(かお)でいる?
『とにかくあんまり
関わらない方がいいよ?』
千夏の声のトーンがいっきに下がる。
「うん…」
どんな気持ちで、昔のこと話してくれたの?
『あ、それと来週あたりに
球技大会あるじゃん?』
返事以外何も言わない私に千夏は話しを変えた。
『来週までには学校戻れるかも』
「ほんと……?」
暗かった気持ちが少しだけ戻る。
『うん、だから頑張ってっ
これから
リハビリだからまたね』
――――プチッ
通話が終了して私は鐘が鳴るまでに教室に戻った。