【完】ポケット-幼なじみ-
先生は教卓の前で腕を組みながら遅れて来たはる君を見て言う。
「――今日も遅いな、水瀬。」
「すみません。
でも、多分今週一杯なんで。」
「おーそうかそうか。がんばれ」
「ありがとうございます」
とペコリ、と先生に頭を下げてから席に向かって来る。
「今週いっぱい…?」
席に着いたばかりのはる君に私が尋ねると順調にいけば、と付け足して静かに座った。
「…はる君。…転校生見た?」
「……え?もう来てるの?」
「うん、一番前のがそう。」
私が言うとはる君はキョロキョロしながらさがした。
「噂通りみたいだよ?
授業中とかも…ほら、」
真井さんは机の上で堂々と携帯電話を開いた。
「…そっか。」
はる君は、重たそうに瞬きして呟くようにいった。