【完】ポケット-幼なじみ-






そのまま授業が終わって席を離れようとすると真井さんがこっちに向かって来た。







彼女ははる君の席の前に来ると




「ねぇ、名前は?」







と私に聞いたときとは違う高く優しい声ではる君に聞いた。







「水瀬。」





はる君はいつものように微笑んで答えた。







すると彼女は思いがけない言葉を口にした。





「あたし、水瀬君の
 こと…気に入っちゃった。」






口元をあげながら笑う彼女は何故か私を見ていった。







さっきの屋上での会話を思い出す。








『あたし、欲しいもんとか
 どんな手を使っても
 全て手に入れたい主義だから』







―――――――――ドクン











さっきの言葉が胸に突き刺さる。







はる君………………目当て?









まさかのライバル…?








彼女と――――――?









「じゃあね、水瀬くん。」











語尾にハートマークがついてるんじゃないかってくらい甘い声を出す彼女は私とすれ違うさまに







“そういうことなので。”






と冷たい声で嘲笑うかのようにふふ、と不気味な笑顔を見せた。











………嘘―――――――――?
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