【完】ポケット-幼なじみ-
「…ありがとう」
笑顔で言う。
嘘の笑顔じゃなくて、心からの笑顔だった。
「――ん。
てか、陽斗にも内緒な?」
ぐっと私の手を引っ張って膝を曲げさせて耳元で呟いた。
「――うん。」
はる君を見ながら頷くと不意に目が合ってしまった。
ズキズキと胸が痛むけど、泣く前よりは痛みは和らいでいた。
パッと先に視線を外したのははる君の方だった。
大丈夫、あと少しではる君とは毎日、話せる日が来るはずだから。
………………ほんの少しの我慢。