【完】ポケット-幼なじみ-





「おかえりーっ」







ようやく学校に戻って来れた千夏を抱きしめながら言う。







千夏は言った通り球技大会の前日に帰って来てくれた。









「あゆ、ごめんね……痛い。」







千夏が遠慮がちに言って一瞬忘れていたけど、復帰したばかりなのを思い出して慌てて離れた。










「…あれ?明日の球技大会、
 千夏は出れそうなの?」








私がそういうと









「まだ運動はしちゃいけない、
 ってとめられてるから
 あたしは出来ないけど、
 あゆのこと、応援してるから」







と微笑みながらファイト、と身体の前でぐっと拳を作った。









「…うん。でも雨降りそう…」










窓の外の空を見ながら、私が言う。








「ねー」







どんよりした空は私のようだった。









あれから我慢しまくりだった、








はる君の撮影は遅れてて来ても真井さんがずっと話してて私ははる君と話せない日もあった。







ただ、隣で見てるだけ。












そんな切ないことはないけど千夏と輝くんがいる限り大丈夫だと思ったりして。
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