【完】ポケット-幼なじみ-
「いきなりだけど、席替えします」
帰る直前に、先生が本当にいきなり言った。
なんで………席替えなんか…
先生の言葉にやっぱりクラス中はブーイングの嵐だったけど、真井さんが私達を睨んだから、しーんと空気が凍り付いた。
きっと……真井さんが言ったんだ。
だって、この空気の中一人笑みを浮かべている。
ちらりとはる君を見る。
「…ん?」
私の視線に気付いたはる君は首を傾ける。
……また、遠くなっちゃうの?
……気持ちも距離も遠くなっちゃうの?
「…………やだ…」
ぽつり、と呟くとはる君は
「俺、も。」
とそういって私の頭を撫でたんだ。
「…歩夢と離れるとかやだ。
だけど、今日で撮影
終わりだから明日から
また一緒に登校しよ。」
はる君は、無意識にそんな言葉を言ってるのかもしれないけれど、単純な私は素直に嬉しかった。
「お前らもクジ引けー」
いつの間にか周り見渡せば私とはる君しか座ってなかった。