【完】ポケット-幼なじみ-
「……はぁ…」
ふと、はる君の背中でため息を漏らす。
「……何かあったの?」
とはる君は自転車の速度を少し下げて、私に聞いた。
「べ…べつになんでもないよ?」
今、顔が見られてたら確実に嘘、だと見透かされているだろう。
「………あ、雨。」
いきなりはる君が言って空を見上げると、ポツっと上から雫が落ちた。
その瞬間、いっきにザァーっと降り出してはる君は、学校の近くのコンビニの隣にあるコインランドリーに自転車を止めた。
「びしょびしょだ…」
雨に濡れ、色が変わったブレザーを見ながら言うといきなり、頭にふわっと柔らかくて白い何かが掛けられた。