【完】ポケット-幼なじみ-







「……はぁ…」









ふと、はる君の背中でため息を漏らす。









「……何かあったの?」









とはる君は自転車の速度を少し下げて、私に聞いた。









「べ…べつになんでもないよ?」









今、顔が見られてたら確実に嘘、だと見透かされているだろう。









「………あ、雨。」








いきなりはる君が言って空を見上げると、ポツっと上から雫が落ちた。









その瞬間、いっきにザァーっと降り出してはる君は、学校の近くのコンビニの隣にあるコインランドリーに自転車を止めた。










「びしょびしょだ…」











雨に濡れ、色が変わったブレザーを見ながら言うといきなり、頭にふわっと柔らかくて白い何かが掛けられた。
< 259 / 318 >

この作品をシェア

pagetop