【完】ポケット-幼なじみ-
ばっと扉の方に立ち寄ってドアノブに手を掛けるが想像通り、………あかない。
――――嘘っ…
「その間水瀬くんと
いっぱい話してこよっと」
ドアの向こうから聞こえる声はさらに虚しくさせただけだった。
あまり濡れないドアの近くに腰を下ろした。
「最悪だぁ…。
輝くんの言うことちゃんと
聞いとけばよかったな…。」
誰か来るかな、なんてそんな浅い望みは捨てる。
雨降っているのに屋上なんかに来る人なんていないから。
ふぅ、と自分の膝に顔を埋める。
雨に打たれっぱで体中の体温は全て下がっていて、まだ秋だというのに冬並みに寒い。
「…眠くなって来ちゃった」
と、うとうとしてそのまま眠りについた。