【完】ポケット-幼なじみ-
私がなにも言わず彼女をみつめていると彼女は口をひらいた。
「普通の宝探し。
あたしがこの鍵を
高等部の校舎内の
どこかに隠すから、時間内に
あなたが、それを見つけて?
見つけたらあなたが勝ち。
見つけられなかったら
あたしの勝ち。
それでもし、これであたしが
負けたら千夏のイジメを、
やめてあげる。
でも、もしあなたが負けたら
…そうね、
何してもらおうかしら?」
クスクスと手を口元におきながら何かを企んでるような妖艶なほほえみを向けた彼女。
「あたしがやることに一切
口を出さない、ってどう?」
一瞬、何をいわれたかわかんなくなった。
真井さんがこれからまた、何をしでかすかわかったもんじゃない。
はる君のことだってあるわけだし。
彼女に邪魔されたら…またはる君との距離が遠く…なるだけ。
でも…勝ったら千夏は…
「……どう?やる?」
口元をあげながら自信ありげな笑顔の彼女。
それでも…チャンスがあるならば。
「………っ…………やる。」
「決定ね。じゃ、また
2時間後に会いましょ。」
ギシリとベッドの軋んだ音を立てながら立ち、そのまま保健室を去っていった。
…これが2時間前の会話だった。