【完】ポケット-幼なじみ-
「………続きは?」
はる君が意地悪げに言う。
「…………。」
なにも言わずに、顔を真っ赤にしながら首を横にする。
「歩夢は…どうしてほしいの?」
急に真面目な顔してそんなことを言うはる君にドキっとする。
そんな質問、ずるいよ………
何となく、悔しくなって目から涙が溢れ出す。
そんな私を見てはる君は慌てて
「ごめん、」
と謝りながら私を抱きしめた。
「…ほんとは一緒にいてほしくない」
ようやく出た、ただの我が儘にもとれる台詞。
いつから私こんなになっちゃったんだろう。
「……なんで?」
少し間を空けてかえされた言葉。
『はる君のことが好きだから』
そういえれば、いいのに。
簡単に好きだと、言えればいいのに。
だけど、真井さんの事を考えると言ってはいけない気がして。
言葉が喉のところでとまる。
前もこんなこと、あった。
………いつも、言えないまま。