【完】ポケット-幼なじみ-
でも…もし、私が、好きだと言えても。
……言って、どうするんだろう。
色々な想いが心の中で交差して頭の中はぐしゃぐしゃだ。
「歩夢…?」
はる君の優しさは私だけじゃない。
自惚れることなんて、許されるわけがないんだ。
「…なんでもないよ?」
顔をあげて、笑顔で答えると一瞬だけ静かになって、その後にはる君がゆっくりと口を開いた。
「…じゃあ、その涙は何?」
はる君の手が私の顔に伸びてくる。
……………涙?
ふと、疑問に思って俯いて考えているとはる君に手で顔をあげられた。
あげられただけかと思いきや、はる君の顔が近付いてきてそのまま私の頬にキスをした。
びくっと身体がはる君の肌に反応してしまう。
「先に言っとくけど
俺は…好きでもないやつに
手、出さないから。」
何…言ってるの?
私の聞き間違え………?