【完】ポケット-幼なじみ-
「俺は歩夢の事、一回も幼なじみとして見たことないよ。」
はる君がそのまま話を続ける。
「兄弟とか妹でもないし
いつの間にか…ずっと、一人の女の子として歩夢のこと、見てきたんだけど。」
そういいながらはる君は私の髪の毛を優しく撫でる。
「はる君…?なに言って…」
冗談…でしょ?
あまりにもびっくりし過ぎて、言葉が、出て…こない。
「歩夢は俺がこんな冗談…言うと思ってんの?」
真面目な顔でそういうはる君の言葉には、冗談や嘘は見えなくて。
急に心臓の動きが速くなりだす。
「ねえ、歩夢は俺の事…どう思ってる?」
耳元で甘い声で囁かれ、はる君の色気にぞくっとする。
幼なじみってだけであんまり意識してなかったけどはる君も、男の子なわけで。
「……っ…はる君…」
はる君の胸を押し退けようとすれば、ぐっとはる君の顔が近づく。
「答え、は?」
少しでも動けば、唇と唇があたるような距離で。
さらに、心臓が大きく鳴り出した。