【完】ポケット-幼なじみ-
「もういいよ。」
と、声がして振り向けば制服を着たはる君がいて、ホッとする。
………………良かった。
はる君、ちゃんと制服着てて。
「当たり前だっつーの。」
私の心を読めたかのようにはる君は言うと、私の横まで歩いてきてさっき下に落とした、私のスクールバッグを拾った。
そして足の動きをとめてから、はる君は言葉を続けた。
「てかさー、いい加減慣れたでしょ?」
「…っえ?なにが?」
言われている意味がよくわからなくて聞き返せば、はる君は意地悪そうに、ニッと笑って私に近付いた。
そして私の耳元でボソッと
「…歩夢の変態。」とつぶやく。
「……〜っ!」
…意味、わかんないっ!
心の中で、そう言って黙ってはる君を見つめた。