【完】ポケット-幼なじみ-
キミノコエ
なんでだろう――、
さっきから
ずーっと胸騒ぎがしているの――
そう願いながら震える指でボタンを押した。
『――もしもし、あゆ?』
と電話を通じて聞こえたのは
いつもの千夏の高い声では無く、
『――こちら中原救急病院です』
と男性の低い声だった―――
救急車のサイレンの音が耳に伝わってくる
どうして――――――――――
不安が頭を過ぎる――――
『――電話の持ち主が交通事故に合いました。
身元を確認したいので――』
カシャン、
手から携帯電話がするりと滑り落ちてしまった。
『―――もしもし』
床に落ちた携帯電話からは
やはり千夏の声はしなかった――